Photo & レポート 《2022年10月有志山行 「月山・鳥海山」》 10.6〜10

 有志山行 2022年10月6日〜10日 

《コース》

《参加者》
会員6名

《レポート》

 

 東北の月山・鳥海山登山を現地3泊4日で計画。10月6日夜に車で京都を出発。7日は出羽三山の一つ羽黒山を散策。翌8日に月山、9日に鳥海山に登ってきました。

【10/7】

 700km越えの道のりを夜中延々と高速道を乗り継ぎ、AM10時過ぎ山形県鶴岡市に到着。早めの昼食を取り羽黒山へ向かう。羽黒山(414m)は山岳信仰の山で、月山(1984m)と湯殿山(1500m)を加えた修験道の霊場“出羽三山”の一つ。 三山を巡る山伏の山駈修行は有名です。羽黒山頂上へは入口の随神門から山頂までの約1.7kmの石段の参詣道があるのですが、今日はあいにくの雨、車で山頂神社にお参りします。
 山頂には出羽三山神社があり月山・羽黒山・湯殿山の三神が合祀され、明日の月山は雨で登れなくても山頂の月山神社にお参りした事に出来るかな?などと思いつつ、明日の晴れを祈り今夜は休暇村に宿泊。

 PS/鶴岡出身の作家“藤沢周平”さんの作品に、羽黒山の山伏の目を通して庄内地方の習俗を描いた「春秋山伏記」という時代小説があります。往時の庄内の人々の暮らしや山伏の神社別当としての役割が庄内弁でよく描かれています。ご参考まで。

【10/8】朝5時、若干雨が降っていますが登山口の月山8合目(1390m)駐車場に向かいます。山道を小一時間走り駐車場に到着。晴れていれば抜群の展望のはずですが...気を取り直して雨支度を整え6時過ぎ出発。登り始めてすぐに池塘が点在する弥陀ヶ原湿原に入ります。

 夏は天空の楽園で高山植物が咲き乱れるそうですが今は草紅葉が綺麗です。分岐から無量坂に入ると緩やかですがゴロゴロの石畳道が続き、昨日からの雨で登山道は雨水を集め登山靴も時々水没。濡れた石で滑らないように気を使いながら登り、開けた場所(畳石)で一息。雨は依然止まず風もきついので先を急ぎます。暫く行くと仏生池小屋(1740m)に到着。
 
 小屋は9月末で締まっており小屋裏で風を避けて小休止。行者返しの急登(役行者が修行の未熟さを悟らされ羽黒山に返されたとの伝説がある)を登ると広くなだらかな稜線の木道にでます。風が強く雨合羽がバタバタ音を立てて旗めき、木道を踏み外すほど体を持っていかれます。強風地帯を過ぎるとようやく月山山頂(1984m) 月山神社に到着。雨は止んできたのですがやはり視界は開けずでした。晴れていれば、庄内平野や日本海はもちろん、鳥海山、朝日飯豊連峰、遠く岩木山、八幡平までも望むことができる絶景が広がるそうです。帰りは往路を戻り月山8合目駐車場へ下ります。

 弥陀ヶ原まで下る頃には束の間晴れ間も見え、湿原の草紅葉や木々の紅葉が日に照らされ、最後に秋の月山を感じる事が出来ました。下山後、道の駅で夕食、銭湯に立ち寄った後、明日の鳥海山の登山口となる鉾立山荘に移動。移動する際、海岸線から伸びるなだらかな稜線の先に2000m級の鳥海山の頂きが綺麗に見え、明日は期待出来そうです。

【10/9】今日は鉾立から象潟口(キサカタグチ)コースで鳥海山を目指します。山頂往復は休憩を入れて11〜12時間程度かかる長丁場。肝心の天気は何とか一日持つ見込みで、身支度を整え5:20駐車場横の登山口(1160m)を出発。登り始めてすぐに広い展望台があり360度見渡せます。日本海の海岸線の先にうっすら象潟の町が、陸の松島九十九島は霞んで見えませんでした。山側は大きなV字の奈曽渓谷。渓谷の遥か彼方に頂きを少し覗かせているのが鳥海山山頂のようです。これよりなだらかな石段を歩くのですが石に霜が降り、途中の木道では凍っている箇所もあり慎重に進む。賽の河原を抜け暫く行くと御浜神社/御浜小屋(1700m)に到着。眼下に火口湖の鳥海湖が、その先に日本海が見渡せここで暫し休憩。ここは夏であれば高山植物が咲き乱れているそうです。

 休憩していると周りに中国語を話す若い人も多く、月山でも東南アジアのグループを見ましたが月山・鳥海山はアジア系で人気なのでしょうか?御浜から岩の尾根道をたどり扇子森(森は無い)の御田ヶ原を進むと、道は正面に鳥海山を望む開けた鞍部に向けて下ります。鞍部から八丁坂を登り返し七五三掛(シメカケ)という広場へ。ここでHさんの年季の入った登山靴に異変が!?...ソール剥がれです。取り急ぎ手持ちの結束バンドで応急処置。七五三掛を過ぎ千蛇谷へと急坂を60m程下り千蛇谷雪渓に降りる。右手に外輪山の絶壁、左手に鳥海山の新山ドームが眼前に。雪渓の谷底から登ること1時間半、ようやく御室小屋に到着。最近初冠雪と の事で少し雪が残っていました。やれやれと思ったのも束の間、目の前に大きな黒い溶岩ドームが...これが1801年の噴火で出来た新山(2236m)で頂上です。ここからはガラガラの岩山をよじ登ります。通常20分程で山頂に出るらしいのですが人が多く、大きな岩の間を抜けると大渋滞が...山頂はスペースが無く、記念写真撮影の順番待ちが発生しているようです。記念写真を撮り終えると即行下山です。下山は新山ドーム反対側の胎内くぐりを抜け鞍部に下り、外輪山への急坂を登り返して外輪山コースで下山。渋滞で予定をかなりオーバーしていた為、昔の山頂の七高山(2229m)には寄らず下山する事に。外輪山のピークを幾つか越え、一気に千蛇谷分岐まで下りました。



  お昼をまわると風も強まりガスも出てきて外輪山の尾根道も期待していた展望は望めませんでした。賽の河原辺りまで下ると風も弱まり、ここから登山口までは小一時間程度。Hさんの登山靴も何とか持ちこたえてくれました。ここからは景色を楽しみながら下り、3時半に登山口に戻りました。行動時間は10時間越えで少々疲れましたが、出発時に立ち寄った展望台からは山頂が綺麗に確認でき、最後に鳥海山の雄姿を見納める事ができいい山行になりました。今日は車で少し下った所にある大平山荘にもう一泊し、翌日帰途につきました。

《山行情報》◇月山と鳥海山は修験道の山として古くから登山道も整備され石段(一部木道)が延々と続きます。晴れていると登り易い反面、雨天時は雨水の通り道となり滑り易いです。(山伏のワラジの方が滑らないかもしれませんね)
 2座とも夏の時期は高山植物が咲き乱れ一番山が賑わう時期ですが、秋は9月末で小屋を閉める所が多くトイレも一部しか開いていません。

◇鳥海山では落石事故の発生から地元自治体はヘルメット着用を強く推奨。(特に千蛇谷雪渓や新山山頂登頂時) 新山はガラガラの岩場で、今回のように大勢の人が列をなして登る状況では落石の確率は高まると思います。秋は時期的に岩も安定していたように思いますが、雪解け後の時期では不安定な岩も多いと思われます。

◇ルートによっては8月でも雪渓が多く残っている所もあり軽アイゼンは必須。

◇鉾立山荘・・・素泊まりのみで1泊\1,830-(布団\510),キッチン、シャワー、トイレ有でリーズナブル
◇大平山荘・・・旅館、1泊2食付\8,800-、大浴場有り (R4年10月現在)

 

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《写真は山行報告・時系列と合っていないこともあります。詳細はレポートご参照ください》